こころの外来
臨床心理士とは?
「心の専門家」と言われる職種です。
資格試験を受けるには文科省の認可している臨床心理士指定大学院を修了することが規定されています。
心理面接・心理検査・研究活動・地域援助が活動の4つの柱です。
整形外科きたクリニックでの「こころの外来」とは?
「こころ」と「からだ」はまさしく表裏一体です。
器質的つまり構造的な原因による痛みが、うつ状態を引き起こすことは多く見受けられます。痛みが長くつづく患者様は「思うように動いていたのに、動かなくなった自分」に対して落ち込んだり、イライラされたりする事があります。あるはずだった自分がいて、できていた事がある。痛みをもつことで、「なんでできないのか」と悩み、ずれが大きければ大きい程、ストレスを感じられるのです。
また逆にからだの痛みのその背景には、人間関係や仕事上のストレスなど、さまざまな心因的な要素が絡むことも珍しいことではありません。
そのような「痛みによる心の不調」や「所見に認められない痛み」を抱える患者さまの、心身両面の改善のために開設いたしました。
器質的に障害を認めない場合にも痛みを訴えられる場合、“身体表現性障害”に分類されることがあります。これは不安障害や他の症状と複合しながらも症病としては独立したもので、このカテゴリーの患者様が特に中心になります。
器質的つまり構造的な原因による痛みと、人間的な苦痛も視野にいれた治療ですね。
はい。急性疼痛が、主に炎症や腫瘍・外傷ということに対して、慢性疼痛は、患者さま固有の心理・社会・実存的反応が全面的に出る場合が多く、局所的な痛み(pain)を超えた人間的苦痛(agony)が患者さまを苦しめ、
QOL((クオリティオブライフ=生活の質)を低下させてしまいかねないと言われます。
当クリニックでは「全人的医療」という立場で「こころの外来」を開設しました。「医師」と「患者さま」の架け橋として臨床心理士が機能することで、医師の診察時に十分に話せなかったことを聞き取ったり、患者さまのこころの状態を医師に報告し、治療を進めていく上での心理的な面のアドバイスをするなど、医師と臨床心理士の両輪で患者さまの痛みに向き合います。
心理カウンセリングはどのように進められますか?
私達のできることは、「患者さまのお話を傾聴すること」「患者さまに寄り添うこと」です。どこが、どんなふうに痛むのか、どんな時に痛むのか、一緒に考えます。患者さまが「気付いて頂く」過程に、共に寄り添って、一緒に考えていくのです。痛みからのイライラが続く患者様には、「痛みの有るからだを認めていただく」事を、そして、形のない痛みをおもちの方は、どこがどんなふうに痛むのか、まずは内省を促すところから始まります。認知行動療法的アプローチも時に必要になります。
改善等のケースを教えて下さいませんか?
改善のケース/仕事を最前線でこなしておられたある中年期女性が、突然の激痛に教われ「早く職場に復帰したいが、肩があがらない」というジレンマをかかえて来院されました。この場合、頸肩腕(けいけんわん)症候群の現症が考えられましたが、医師が診察で心因性を疑い、こころの外来に来られました。心理カウンセリングを数回行った結果、こころとからだとの深い関連に少しずつ理解を持たれからだ以上にこころに無理をかけていたこれまでに対して気付きをもたれました。患者様の要望も有り短期療法的な手法で症状以前に回復することが当初の目標であるなか、長期的な目標である積年のストレスに目を向けることに上手くつながったケースです。
これからも患者さまの痛みに向かい合っていきたいと思います。